「事業成果につなげるための副業・兼業プロ人材活用セミナー」イベント開催レポート
令和7年9月24日に「事業成果につなげるための副業・兼業プロ人材活用セミナー」を開催しました。
本セミナーは、高知県内事業者の皆様に、副業・兼業プロフェッショナル人材活用への理解を深めていただくため、県内での活用事例をトークセッション形式でお届けしました。トークセッションは二部構成で、第一部では全国的な副業・兼業プロ人材市場のトレンドと活用のポイント、第二部では県内企業の活用事例をそれぞれ登壇者に共有いただきました。
開会挨拶/高知県の副業・兼業プロ人材活用促進の取り組みについてご紹介


高知県UIターンサポートセンター 亀井マネージャー モデレータ 近藤さん
はじめに、本事業主体である高知県UIターンサポートセンターの亀井マネージャーより開会の挨拶、モデレータの近藤さんより高知県の副業・兼業プロ人材活用促進の取り組みについて説明がありました。
労働人口減少という社会背景を受け、企業の人材確保にも変化が求められています。その解決策として、豊富な経験や専門性を持つ副業・兼業プロ人材は、企業の課題解決や新たな価値創出の担い手となる可能性があります。

高知県が抱える事業環境の変化としては以下が挙げられます。
- 人口減少や少子高齢化に伴う県内マーケットの縮小と労働人口の減少
- コロナ禍を経て消費者のECシフトが進み、県外事業者との競争が激化
このような課題に対し、社内の知見だけでは新たな挑戦が難しい一方で、いわゆるコンサル人材の活用は費用面でハードルが高いのが実情です。
そのような環境の中、近年都市部の大企業で副業が解禁されたことにより、金銭目的だけでなく、地域貢献や自己の挑戦を動機とする優秀な人材が増加していることが、この仕組みを支えています。
トークセッション① トトノエルジャンパン合同会社 砂川大輔さん
/全国で拡がる地域副業・兼業プロ人材活用の事例とポイント

砂川さんは、アマゾンジャパン合同会社を経て、現在は富士通株式会社で経営の中枢を担い、その傍ら、副業プロ人材として全国200社以上の地域企業を支援してきた実績があります。その経験を活かし、現在は自身が主催するメディア「副業人材活用ラボ」で、副業・兼業プロ人材市場を俯瞰的な視点で捉え、企業と個人の双方に有益な情報を発信しています。

全国的な傾向として、副業・兼業プロ人材活用に成功している経営者は、人材を単純労働力としてではなく、事業成長のための「ブレイン」として起用しており、成果を出すためには「選び方」と「選ばれ方」を意識して募集を行う必要があるとの解説がありました。
《 人材の選び方のポイント 》
- 自社の課題を明確にし、その解決に最適な人材を選定する
- リモート環境で力を発揮して貰うための言語化能力やPCスキルの見極め
《 人材から選ばれる企業のポイント 》
- 優秀な人材は報酬だけでは動かない。「仕事の魅力」「対等なパートナーとして尊重し合える関係性」「企業の社会貢献性」といった点を伝えることが重要
- 決裁者が打合せに参加する企業は、意思決定が早く、副業・兼業プロ人材にとって非常に魅力的
また「伴走支援における失敗」についての質問に対し、砂川さんは失敗に繋がりやすいポイントとして「決裁者の会議不参加による意思決定の遅れ」と「担当者のITリテラシー不足」の2点を挙げました。副業・兼業プロ人材活用における成果創出の実現には、企業側の経営層の積極的な関与と、デジタル環境の改善・スキルの向上も必要となると指摘しています。
トークセッション② 株式会社アオイコーポレーション 楠目英貴さん
/副業・兼業プロ人材活用でEC売上が3倍に その人材活用術を読み解く

楠目さんは、学校や病院、介護施設向けの給食事業と、介護食の製造・販売を二本柱とする株式会社アオイコーポレーションに所属。同社は社会福祉法人ウエルプラザを母体とし、その給食事業を担う形で設立されており、自社の介護食という強みを外部に展開するため手探りでECサイトの運営を開始しました。

介護食「ふるる」の県外販路拡大を目指しAmazonでの販売を開始したものの、手探りでの運営に限界と不安を感じ、専門的な知見を得たいと思い、本事業を知り活用を決意したとのこと 。いざ課題解決に向け副業・兼業プロ人材を募集してみると、2週間ほどで14名の応募があり、プロフィールを見ると期待以上の経歴・スキルの方ばかりで選考では大変悩まれたそうです。最終的には、現役のECコンサルタントで、介護食の商品に可能性を感じてくださった人材に支援を依頼することを決定しました。

支援を受け、売上目標と広告費などの投資計画を明確にし、またECサイト上で、検索キーワードを意識した商品タイトルや説明文の修正、ストアページの構築など、これまで活用できていなかった機能を駆使してサイト内コンテンツを大幅に充実することで、結果としてECサイトでの売上が3倍となり、活用開始から1年で約6倍に増加した そうです。
楠目さんは、「一人でやっていたら、方向性が合っているか分からず途中で諦めていたかもしれない。プロに『この方法で間違いない』と言ってもらえる安心感が、施策を継続する力になった」と振り返りました。
最後に
近年、地域事業者にて経営課題改善に副業・兼業プロ人材を活用される事例が増えており、人材選考のポイントや、成果創出のためのコツなどが蓄積されています。
これまでの運用経験や知識を生かし、副業・兼業プロ人材の募集や課題の整理、必要書類の作成サポートまでを事務局にて支援させていただきますので、少しでもご興味があれば、ぜひご相談ください。
副業・兼業プロ人材活用が、課題解決・事業成長の一つの手段となれば幸いです。